動物図鑑・コンカラーテナガザル

コンカラーテナガザル

コンカラーテナガザル さんのプロフィール


動物図鑑・コンカラーテナガザル
動物図鑑・コンカラーテナガザル 1動物図鑑・コンカラーテナガザル 2
和 名 コンカラーテナガザル
分 類 霊長目・テナガザル科
学 名 Nomascus concolor / Hylobates comcolors
英 名 Black Crested Gibbon
分布域 ラオスやベトナム、中国雲南省などなど
生息環境 森林地帯
体 長 45~55cm 前後
尾 長 尾はなく、痕跡程度
体 重 7~10kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (CR)
コンカラーテナガザルは雌雄で毛色が異なっていて、一見すると別種のようにも見える。
しかし、他のテナガザルと同様、森林地帯に生息していて、ほとんど樹上生活をしている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


コンカラーテナガザルの分布域・生息環境
テナガザルの仲間は東南アジアなどに分布しているが、コンカラーテナガザルはラオス北西部やベトナム北部、中国南西部の雲南省などに分布していて、それぞれの国境が接するシャン高原、ユンコイ高原などの山地に生息している。

主に標高2000m辺りの高地の森林地帯に生息しているが、標高600~2600m辺りまで観察されている。


コンカラーテナガザルの大きさ・特徴

コンカラーテナガザルは体長45~55cm、体重7~10kg程で、他のテナガザルのように腕は長く、尾は痕跡程度しかない。

一見して、テナガザルの中ではよく見られるシロテテナガサルに似ているが、毛色は雌雄で異なっているのが特徴になっている。

雄は全身が黒い色をしていることから、別名・クロテナガザルとも呼ばれているが、雌は全身が淡いクリーム色をしていて、頭頂部や目や鼻の周り、口などは黒っぽい色をしている。
また、雄の中には頬の部分が白く、頬ひげを生やしたように見えるものも見られる。

しかし、コンカラーテナガザルの頭頂部はいずれも黒く、帽子をかぶったように見える。
その様子から本種を「ボウシテナガザル」と呼んだりもするが、ボウシテナガザルとは別種である。


コンカラーテナガザルの生態・生活

コンカラーテナガザルは森林地帯に生息していて、常緑林から落葉林まで見られる。
比較的標高の高いところに多く、中国では標高2500mを超える高地でも姿が観察されている。

昼間に活動し、雌雄とその子どもからなる小さな家族単位で生活している。
地上に降りてくることはほとんどになく、主に森林の樹冠部分で生活している。

樹上では、雲梯(うんてい)を渡るように、長い腕と体の反動を使ったブラキエーションと呼ばれる運動で、枝から枝へと敏捷に移動する。
木登りや跳躍にも優れていて、かなりの距離を跳ぶこともできる。

主に果実や木の葉、木の芽などを食べ、季節によってさまざまなものを食べる。
また、コンカラーテナガザルは動物質のものを食べないと言われているが、昆虫や小鳥の卵、カエルやカタツムリなどの動物質も好んで食べるとも言われている。

行動範囲は季節や食糧事情などによって幅があるが、平均すると0.1~0.2平方km程度と言われている。
行動範囲は縄張りにもつながっていて、大きな声をあげたりして縄張りを主張する。

鳴き声は早朝や夕方に多く聞かれるが、その声は辺りによく響き渡る。
この鳴き声は縄張りを主張しているだけでなく、群れの繋がりを確認するためにも行われている。

夜間は背の高い木の上で休むが、同じ木を選ぶこともあり、違った木で休むこともある。
同じ木で休む場合は、その木の同じ場所で休む習性があると言われている。

また、一見おとなしそうに見えるが、コンカラーテナガザルは性質は荒く、攻撃性が強いとも言われている。

外敵はヒョウウンピョウ、大型のヘビなどが考えられているが、具体的な外敵は知られていない。
コンカラーテナガザルは樹上の高いところで生活していることもあり、外敵は少ないとも考えられている。


コンカラーテナガザルの繁殖・寿命

コンカラーテナガザルには決まった繁殖期がなく、1年を通して繁殖することができる。
また、繁殖は一夫一婦と言われているが、テナガザルの中では珍しく、時に一夫多妻であることも観察されている。

雌は2~3年の間に一度出産し、妊娠期間7~8ヶ月の後、ふつうは1産1子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は500g程で、育児は雄やほかの家族によっても行われる。

子どもは2年ほどで親から離れて自立した生活を送るようになり、雌雄共に7~8年程で性成熟し、雄はこの頃には群れを離れていく。
雌もやがては群れを離れていくが、しばらくは出生した群れに留まっていることもある。

野生下での詳しい寿命は分かっていないが、他のテナガザルなどと同様、飼育下では25~30年ほどの寿命があると考えられている。

また、子どもの毛色は雌雄共にベージュ色をしているが、半年ほどで全身が黒っぽくなっていく。
しかし、雄は成長しても黒いままだが、雌は成熟する前には再びベージュ色に変わっていく。


コンカラーテナガザルの保護状況・その他

コンカラーテナガザルは、近年の森林の伐採や開発などで、生息数が激減している。
現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、もっとも生息数が少ないと懸念される絶滅危惧種(CR)としてレッドリストに指定されている。

しかし、分布域が限られていて、生息地も分断されていることもあり、更なる生息数の減少が心配されている。

尚、コンカラーテナガザルには次の亜種が認識されている。

Nomascus concolor concolor (Tonkin black crested gibbon)
ベトナム北部から中国雲南省南部に分布する基亜種

N. c. furvogaster (West Yunnan black crested gibbon)
雲南省南西部のビルマ国境付近

N, c, jingdongensis (Central Yunnan black crested gibbon)
中国雲南省中央部

N. c. lu (Laotian black crested gibbon)
ラオス北西部に分布

また、以前は本種の亜種として扱われていたホオジロテナガザル(Nomascus leucogenys / White-cheeked gibbon)も生息数が減少していて、IUCNのレッドリストに絶滅危惧種(CR)として指定されている。

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