シシオザルは、インド南西部のデカン高原西側のガーツ山脈のゴアからコモリン岬までの限られた地域に分布しているオナガザル科のサルで、名前のように、尾の先にはライオンのようなふさふさとした毛が見られる。 全身の毛は長く、毛色は黒色や黒褐色で、顔の周りには特徴的な灰色の長い毛が生えている。 この顔の周りの毛もタテガミのようでライオンを髣髴させるが、顔は黒くて毛は生えていない。 雌雄共に顔の周りにはタテガミのような毛があり、形態に違いはないが、幼獣の時にはまだ生えていない。 また、体の大きさはニホンザルと同じくらいだが、シシオザルは雄の方がかなり体が大きい。 四肢には5本の指があり、爪はすべて平爪をしている。 親指は他の指と対向していて、物をつかんだり握ったりすることができ、器用に手を使うことが出来る。 また、ニホンザルのように頬には頬袋があり、食べ物を一時蓄えておくことができる。 標高1500m位までの山地の湿潤な森林地帯に生息し、広範囲を移動する生活をしている。 昼間に活動し、主に草食性で果実や木の実を食べるが、木の芽や茎なども食べるほか、昆虫やカエル、トカゲなどの動物質も少しは食べる。 シシオザルはニホンザルやカニクイザル、ベニガオザルなどと同じマカク属の仲間で、普段は複数の雌雄からなる10~20頭ほどの群れで生活するなど、生活行動は他のマカクの仲間とよく似ている。 しかし、シシオザルはほとんど樹上生活をしていて、水を飲んだりする他は滅多に地上に降りてくることはなく、人との接触も避けた生活をしている。 また、雄は縄張りを守るためにしばしば大きな声を発するが、これもマカクの中では珍しい。 幼獣のうちから飼育すると慣れるとも言われているが、元来シシオザルは性質が荒く、犬歯も雄では特に大きいので、不用意に近づいたりするのは危険である。 一夫多妻で決まった繁殖期がないが、多くの出産は雨季のピークに見られる。 妊娠期間はおよそ6ヶ月で、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重400~500g程で、半年か長くて1年ほどは授乳される。 雌は3~4年、雄は5~6年で性成熟すると言われているが、雄はこの頃には群れからは離れていく。 野生での寿命は20年程度、飼育下では30年前後と言われているが、38年を超えるものも記録されている。 シシオザルは分布域が限られている上、近年の森林伐採や開発などによって生息数が減少している。 現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)に指定され、国際的に保護されているほか、各地の動物園でも保護や繁殖に努めている。 オナガザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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シシオザル