動物図鑑・シシオザル

シシオザル

シシオザルさんのプロフィール


動物図鑑・シシオザル
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和 名 シシオザル
分 類 霊長目・オナガザル科
分布域 インド
生息環境 高地の森林地帯など
体 長 雄で50~60cm、雌で40~45cm 程度
尾 長 雄で30~40cm、雌で25~30cm 程度
体 重 雄で5~10kg、雌で3~6kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)
シシオザルはニホンザルカニクイザルベニガオザルなどと同じオナガザルの仲間で、インドの固有種になっている。

尾の先には房毛があり、それがライオンの尾のように見えることから名前が付けられている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


シシオザルの分布域・生息環境
シシオザルは、インド南西部のデカン高原西側に位置するガーツ山脈のゴアからコモリン岬辺りまでの限られた地域に分布している。
山地の森林地帯に生息していて、標高1500m辺りまで見られる。


シシオザルの大きさ・特徴

シシオザルは体長40~60cm程で、ニホンザルと同じほどの大きさがある。
体は雄の方がかなり大きく、雌の体重が3~6kg程であるのに対して、雄は5~10kg程の体重がある。

しかし、雌雄ともに尾は長く、25~40cm程の長さがあり、尾の先にはふさふさとした毛が見られる。
その様子が、ライオンの尾のように見えることから名前がつけられていて、シシオザルの特徴になっている。

英名も同じことから付けられているが、四肢には5本の指があり、爪はすべて平爪をしている。
親指は他の指と対向していて、物をつかんだり握ったりすることができ、器用に手を使うことができる。

また、シシオザルにはニホンザルのように頬には頬袋があり、食べ物を一時蓄えておくことができる。

全身の毛は長く、毛色は黒色や黒褐色で、顔の周りには特徴的な灰色や灰白色の長い毛が生えている。

雄ではこの顔周りの毛が顕著で、ライオンのタテガミを髣髴させるが、顔は黒くて毛は生えていない。

雌にも顔周りには毛があり、形態に大きな違いはないが、顔周りの毛は幼獣の時にはまだ生えていない。


シシオザルの生態・生活

シシオザルは標高1500m辺りまでの湿潤な森林地帯に生息していて、広範囲を移動する生活をしている。

ふつうは複数の雌雄からなる10~20頭ほどの群れで生活しているが、時には30頭を超える群れをつくることもある。
また、群れの中には2~3頭ほどの雄が見られるが、この内の優位な雄が群れを率いている。

昼間に活動し、主に草食性で果実や木の実を食べるが、木の芽や茎なども食べるほか、昆虫やカエル、トカゲなどの動物質も少しは食べる。

一日の多くの時間を採餌に費やしているが、頬袋は多くの食べ物を集めるのに役立っていて、外敵などを避けてすぐに食べ物を集めるにも役立っている。

また、シシオザルはほとんど樹上生活をしていて、水を飲んだりする他は滅多に地上に降りてくることはなく、人との接触も避けた生活をしている。
しかし、近年の森林開発などにより、人との接触が増加していて、耕作地などにも姿を見せ、農作物を食べることもある。

シシオザルは縄張り意識が強く、雄は縄張りを守るためにしばしば大きな声を発するが、これはマカクの中では珍しいと言われている。

縄張りに近づいてきたものに対しては歯をむき出して大きな声を上げたり、木をゆすったりして威嚇するが、それでも相手が逃げないときには闘争になり、時には大きな犬歯で重傷を負うこともある。

幼獣のうちから飼育すると慣れるとも言われているが、元来シシオザルは性質が荒く、犬歯も雄では特に大きいので、不用意に近づいたりするのは危険である。

外敵はヒョウドールなどの肉食動物だが、大型のニシキヘビや猛禽類などに襲われることもあるが、一番の脅威は開発による生息地の減少で、人による狩猟も大きな脅威になっている。


シシオザルの繁殖・寿命

シシオザルには決まった繁殖期が見られないが、出産の多くは雨季のピークに見られる。
繁殖は一夫多妻で行われ、雌は妊娠期間6ヶ月ほどで、普通は1産1子を出産する。

生まれたばかりの子どもは体重400~500g程で、淡いピンク色の皮膚に茶色の毛が生えている。
生後2ヶ月頃になると顔周りの毛が生えはじめ、半年か長くて1年ほどは授乳期間がある。

雌は4~5年、雄は6~8年で性成熟すると言われていて、雌はその後も出生した群れに留まるが、雄はこの頃には群れからは離れていく。

シシオザルの野生での寿命は20年程度、飼育下では30年前後と言われているが、飼育下では38年を超えるものも記録されている。


シシオザルの保護状況・その他

シシオザルは、近年の森林伐採や開発などによって生息地が減少していて、それに伴い生息数も減少している。

現在、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種(EN)に指定され、国際的に保護されているが、生息地は分断されていて、更なる個体数の減少が心配されている。

各地の動物園でシシオザルの保護や繁殖が努められているが、生息地の減少から農作物を食べたりすることから、害獣として駆除されされたりするほか、皮や肉を目的とした狩猟も行われている。

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