「ワラビー」とは特に「科」などによって分類されたものではなく、カンガルー科に属する動物の中で小型のものを指す総称として使われている。 また、中型のものを「ワラルー」と呼び、「カンガルー」、「ワラルー」、「ワラビー」の順で、体が大きい。 ワラビー類は一見するとカンガルー属に似ているが、カンガルーに比べて後ろ足が大きくなく、尾は短いなどの他、耳もカンガルーほど大きくなく、全体の体つきは違っている。 また、カンガルー属のものと違って、大きな群れをつくることもない。 その為、ワラビー類を開けた平原などではほとんど見かけることはないが、後ろ足で跳躍したり育児嚢で子どもを育てることなど、基本的な習性や生態などはカンガルーと同じである。 パルマワラビーはオーストラリア東部のグレートディバイディング山脈に分布しているが、分布域はニューサウスウェールズ州に限定されている。 低地から標高900~1000m位のところにまで姿が見られるが、多くは標高300m程度辺りまでに生息している。 下草の多い湿った森林地帯などで生活しているが、時折乾燥したユーカリのある林などでも見られる。 また、別名でパルマヤブワラビーとも呼ばれ、体は雌よりも雄の方が少し大きく、前肢も僅かに長い。 背面は灰褐色や褐色などで、のどから胸、腹にかけては白色をしている。 また、頬にはふつう白い筋があり、頭頂部から背中にかけては暗色の帯が見られるほか、尾は体と同じくらい長い。 体は小さいが、後足はよく発達していて、跳躍力にも優れている。 ゆっくり移動する時はカンガルー類と同じで、長い尾を第五の足のように使ってバランスを取り、前足で体を支え、後足を同時に前に出して進みようにする。 パルマワラビーは昼間に活動することもあるが、元来は夜行性の動物で、日中はヤブなどの中に潜んでいて、夕方から活動を始める。 普段は単独で生活していて、主に草類や低木の葉などを食べるが、時に2~3頭くらいの少数の群れで行動することもある。 繁殖期は3~7月頃にかけて見られるが、一夫一婦や一夫多妻など、決まった繁殖形態は知られていない。 妊娠期間は30~35日程で、雌はふつう1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重はわずか0.5g程で、他のカンガルー類と同じで、6~7ヶ月程の間は母親の育児嚢から出たり入ったりして育てられる。 10ヶ月を過ぎる頃には独立し、雄は2年近くで性成熟するが、雌は少し早く、16ヵ月程で性成熟する。 寿命は野生下では6~8年程度と考えられているが、飼育下ではそれよりも長く、11~15年程度と言われている。 パルマワラビーは1840年にイギリス人によって知られることになったが、その後大陸から持ち込まれたキツネなどの肉食性動物によって捕食され、生息数が激減した時期があった。 その後、保護政策などがとられているが、現在でもニューサウスウエールズ州の北東部に生息するだけとなっている。 また、パルマワラビーは保護を目的としてニュージーランドのカワウ島にも人為的に移入されるなどしているが、ベネットワラビーなど、他のワラビー類に比べて最も生息数が少ないと言われている。 現在、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、準絶滅危惧種(NT)としてレッドリストに指定されているが、生息数はあまり回復していない。 尚、ワラビーの仲間には、本種やベネットワラビーなどは森林地帯などに生息しているが、イワワラビーの仲間は、荒れた岩場などに生息している。 カンガルー科の動物へ / このページの先頭へ |
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パルマワラビー(パルマヤブワラビー)