イワワラビーの仲間は、乾燥した岩の多い環境で生活しているが、シマオイワワラビーは、名前のように、尾には輪のようになっている暗色の斑が見られる。 分布 シマオイワワラビーは、オーストラリアのサウスオーストラリア州東部やニューサウスウェールズ州西部、クイーンズランド州の一部などに生息している。 しかし、分布域は断片化されていて、サウスオーストラリア州ではフリンダース山脈、ゴーラー山脈、オラリーヒルズ、ニューサウスウェールズ州ではギャップ山脈、コトゥランディー山脈などに生息していて、クイーンズランド州ではアダベール山脈に限って生息している。 形態 体長48~65cm程度、体重は6~11kgほどで、カンガルーの中では体は小さい。 雄の方が体が大きいが、雌雄ともに、いずれも耳は大きく、尾は体長よりも長い。 また、カンガルーに比べると後肢も小さいが、よく発達している。 毛色は、背側は茶褐色や灰褐色などで、腹側は白っぽい色をしている。 四肢や尾などは茶色やオレンジ色などで、尾には背の色と同じ色の斑が10本程度リング状になって見られ、これが名前にある「縞尾」の由来になっている。 後肢の付け根には白っぽい斑があり、そこから肩にかけても白い斑がある。 また、耳の下から口元にかけても白い筋が見られる。 生態・生活 カンガルーの仲間はオーストラリアに広く分布しているが、「ワラビー」とはカンガルー科に属する動物の中でも小型のものを指す総称として使われている。 ベネットワラビーやオグロワラビー、パルマワラビーなど、およそ40種類近くのワラビー属が知られているが、イワワラビーの仲間は森林などに生息しているものとは違い、名前のように、山地の岩場や崖など、乾燥した荒れた地域に生息している。 シマオイワワラビーの多くは20頭位までの小さな群れで生活しているが、時には群れ同士が集まって、100頭を超す大きな群れをつくることもある。 主に夜間に活動し、昼間は岩の間や洞窟などで過ごしていることが多い。 しかし、日中も涼しいようなら昼の間も活動し、日光浴をするため、時折岩の間などから出てくることもあり、飼育下ではしばしば昼間も活動している。 ほかのカンガルー類と同様、草食性で、草や木の葉、落ち葉や種子などを食べるが、乾季には落ち葉が主食になっている。 木の葉などは口にくわえ、前肢で枝をつかみ、引っ張るようにして食べる。 動きは敏捷で、岩から岩へ巧みに飛び移り移動する。 跳躍力にも優れていて、小さな体にもかかわらず、最大で4m程の長さを跳ぶことができる。 垂直方向の跳躍力にも優れていて、体高の1.5倍ほども跳ぶことができると言われている。 急な崖の斜面も登ることができ、キノボリカンガルー程ではないが、木の幹に登ることもある。 また、荒れた地域で生活していることもあり、人が住んでいる近くなどでは姿を見せることがないが、水源から遠く離れたようなところでは見られないと言われている。 繁殖・寿命 シマオイワワラビーには、はっきりとした繁殖期が見られないが、その時期は食糧事情や降雨量によって影響されると考えられている。 雌の妊娠期間は30~32日程で、ふつう1産1子、稀に2子を出産し、他のカンガルーと同じで、子どもは雌の育児嚢で6~7か月の間育てられる。 子どもは18ヶ月程で性成熟し、野生下での寿命は3~6年程度、飼育下では14年を超えたものが知られているが、ふつうは10年ほどの寿命と言われている。 外敵は、導入されたアカギツネが一番の脅威となっているが、家畜との競合も指摘されている。 また、かつては毛皮を目的とした狩猟や農地開発なども生息数の減少を招いたが、現在も農地や資源開発などによって生息地は減少している。 保護状況・その他 シマオイワワラビーは、かつてはより広い地域に生息していたと言われているが、家畜との競合や毛皮を目的とした狩猟、開発などによる生息地の減少などで生息数は減少している。 現在、国際自然保護連合(IUCN)では準絶滅危惧種(NT)に指定しているが、分布域が断片化されているに加え、生息環境も限られていることから、更なる個体数の減少も心配されている。 尚、シマオイワワラビーには次の二亜種が知られている。
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シマオイワワラビー