コビトカバは、名前のように小さなカバのように見えるが、カバとは特徴が異なっていて、生活の様子も違っている。 西アフリカだけに分布する珍しい動物で、個体数が少なく、絶滅危惧種に指定されている。
コビトカバの分布域・生息環境 コビトカバはリベリアやギニア、コートジボワール、シエラレオネなどの西アフリカに分布していて、多くはリベリアに生息している。 低地の森林や湿地などに生息していて、水源から遠くないところで生活している。 開けた環境では見られず、移動するときも、身を隠しやすい植物の多いところを通る。 コビトカバの大きさ・特徴 コビトカバは、名前のように、一見して小型のカバか子どものカバのように見えるが、体の感じをよく見ると、ふつうのカバとは違った特徴をもっている。 肩高は0.7~1m程で、小さなカバのようだが、頭部はカバに比べると小型で、首もやや長い。 また、眼は突出せず、鼻孔は前方に向いているなどの特徴がある。 前足の2本の指の間には僅かな水掻きがあるが、四肢は陸上での生活に適したようになっている。 尾は短いが先には毛が生えていて、体は灰黒色のような色をしている。 コビトカバの生態・生活 コビトカバは低地の森林や湿地などに生息していて、カバとはやや違った生活をしている。 カバのように群れをつくることはなく、普段は単独で生活していて、南米に分布しているバクのような暮らしぶりをしている。 また、カバは日中に活動するが、コビトカバは基本的に夜行性で、夕方から深夜にかけてもっとも活発に活動する。 生息環境も違っていて、カバがサバンナなどの水辺近くで生活しているのに対して、コビトカバは森の中で生活をしている。 もっとも、森の中でも川や沼などの水辺からあまり離れることのない生活をしているが、カバのように特に水中を好むことはない。 泳ぎもうまく、長い時間を水の中で過ごしているが、カバよりも陸上生活に適応していて、カバと同じで体が被毛に覆われていないので、皮膚を乾燥から保護するために水浴びや泥浴びをする程度とも言われている。 食性は草食性で、森林の中でシダ類などの草や木の葉、果実、また水生植物なども食べる。 雄の行動範囲は1.65~1.85平方km程度、雌では0.4~0.6平方km程度と言われていて、雄の行動範囲の中には複数の雌の行動範囲が含まれている。 巣穴は川の土手などで見つかっているが、自ら巣穴を掘るとはなく、既存の穴などを拡張するものと考えられている。 また、巣穴は岩穴などを利用することもあり、1週間の間に1~2度は場所を変えると言われている。 外敵にはヒョウやワニなどがいると言われているが、大型のヘビに襲われることもあると考えられている。 コビトカバの繁殖・寿命 コビトカバの野生での繁殖の様子などはほとんど分かっていないが、飼育下では決まった繁殖期などは見られない。 また、飼育下では一夫一婦で繁殖するとされているが、野生では1頭の雄の行動範囲に数頭の雌の行動範囲が含まれていることから、一夫多妻であるとも推測されている。 飼育下での雌の妊娠期間は184~210日程で、普通は1産1子を出産し、2子の出産は極めて稀と言われている。 出産はカバが水中で行うのに対して、飼育下でのコビトカバの出産は水中と陸上の両方で行うことが観察されている。 生まれたばかりの子どもの体重は3.4~6.4kg程で、6~8ヵ月程の授乳期間がある。 雌雄共に3~5年で性成熟し、飼育下での寿命は長く、40年を超えたものが知られている。 野生での寿命は分かっていないが、17~20年程ではないかと言われている。 コビトカバの保護状況・その他 コビトカバは世界的にも珍しい動物で、ジャイアントパンダ、オカピと共に三大珍獣 (或いはウシ科のボンゴを加えて四大珍獣)と呼ばれているが、生息数が少なく、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されている。 しかし、ナイジェリアの一部に分布していたものも既に絶滅してしまったと考えられている他、現在生息しているコビトカバの分布域は分断されていて、範囲も限られてしまっている。 密猟なども後を絶たず、更なる生息数の減少が懸念されている。 |
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