ジャイアントパンダは中国南西部の四川省や甘粛省、陝西省などに分布していて、別名シロクログマとも呼ばれるように、体ははっきりとした黒白で色分けられていて、きわめて特徴的な毛色をしている。 また、国内で「パンダ」という場合、レッサーパンダではなく、このジャイアントパンダを指すことが多いが、中国では「熊猫」・「大熊猫」などと呼ばれている。 ジャイアントパンダの外見は猫には似ていないが、これは先に発見されたレッサーパンダが「熊猫」、あるいは「小熊猫」と呼ばれていたことから名付けられたと言われている。 体は雄の方が少し大きいが、雌雄共に目の周りや耳、後ろ足、肩から前足にかけては黒く、そのほかは白い色をしている。 この白い部分の毛の1本1本は無色透明で、光の反射によって白く見えるようになっていて、ホッキョクグマの毛に似ている。 四肢は短く、それぞれに5本の指があり、前肢の爪は後肢より長くて鋭い。 また、寒冷地に適したように、毛は厚くてフサフサとしていて、足の裏にも毛が生えているほか、尾はほとんどなく、13~20cm程度の長さしかない。 標高2500~3500m程の湿った竹林のある山岳地帯に生息しているが、涼しいところを好み、夏には標高4000m辺りまで登ることもある。 昼夜共に活動するが、特に朝夕に活発に動きまわる。 基本的には単独で生活していて、群れや家族をつくることはなく、雄は鋭い嗅覚で他の雄との衝突を避けるようにしていると言われている。 行動範囲は4~6k㎡と言われているが、季節や食糧事情などによって変化する。 また、ジャイアントパンダは他のクマ科のように冬眠することはなく、冬には標高の低いところに降りてくる。 主に若タケやタケノコを食べるが、平均的な個体は1日の半分近くを食事に費やし、およそ13kg程の笹を食べる。 クマ科の動物はふつう物をつかむことができないが、ジャイアントパンダは笹などをつかめるよう、手の構造が違っていて、笹を食べる時には、手首から長く伸びた指状の突起を使ってうまく食べる。 また、木の根やその他の植物も食べるほか、昆虫や小型の鳥、齧歯類や魚などの動物質も少しは食べる。 動物園で見かけられるジャイアントパンダは、うしろ足を前に投げ出して座り、笹を食べていたりする姿がよく見られるが、木登りや泳ぎもとてもうまい。 また、その可愛らしい外見とは別に、気の荒いところもあり、目も上がり気味で鋭い目付きをしている。 視力はあまりよくないと考えられていたが、さまざまなな色を区別できることが確認されている。 人以外に外敵はいないとされているが、ヒョウやドール、ヒグマなどに襲われたという記録があるほか、幼獣はゴールデンキャットやテンなどに襲われることがあるとも言われている。 繁殖期は3~5月頃に見られるが、遅延着床があるため、妊娠期間は80~180日程とかなり幅がある。 実際の妊娠期間は50日程で、出産の多くは8~9月に見られ、1産1~3子、普通は1~2子を出産する。 出産は岩穴や樹洞などを利用し、小枝などを敷いて行われる。 生まれたばかりの子どもの体重は100~150g程度、体長は15cm程で、未発達な状態で生まれてくる。 体色は白や薄いピンク色で、目は閉じていて、毛も生えていない。 生後3週間ほどで目が開き、成長するにつれて白黒模様が表れ、1ヵ月程で親と同じ体色になるが、生後3ヵ月位までは這うこともできない。 8~12ヵ月程は授乳期間があり、1年半から2年程で独立する。 雌雄共に5年半から6年程で性成熟し、飼育下での寿命は35年を超えたものが知られているが、普通は25年程度、長くても30年程と考えられている。 また、野生下ではこれよりも短く、15~20年程度と言われている。 このほか、ジャイアントパンダはコビトカバ、オカピとともに世界三大珍獣に数えられるが、これらの動物と同様、近年は生息数が激減している。 かつては中国南部と東部の大部分のほか、ベトナム北部やミャンマーにも分布していたと考えられているが、現在は中国四川省北部の岷山山地、陝西省南部の秦嶺山脈などを中心におよそ1600頭程が生息しているだけと言われている。 国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価で絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されているほか、ワシントン条約の付属書Ⅰにも記載されているが、更なる保護も求められている。 尚、ジャイアントパンダはアライグマに近い特徴を持つ為、クマ科に属するか、アライグマ科に属するかということが長年問題とされ、一時は独立したパンダ科 (或いは、ジャイアントパンダ科) をつくるという論争などもあったが、遺伝子によりクマの近縁であることが明らかになっている。 クマ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ジャイアントパンダ (シロクログマ)