オカピはコンゴ民主共和国などに分布しているキリンの仲間だが、一見するとキリンの仲間には見えない形態や体色をしている。 かつてはウマの仲間とも考えられていて、世界でも珍しい動物のひとつに挙げられている。
オカピの分布域・生息環境 オカピはコンゴ民主共和国の中央部や北部、ウガンダなどの限られた地域に分布している。 森林地帯に生息しているが、オカピは人の近づかないような熱帯雨林に生息していることもあり、詳しい分布域などは分かっていない。 しかし、ウガンダでは既に絶滅しているとも言われていて、分布域は広くない。 オカピの大きさ・特徴 キリンの仲間はふつう首が長い印象があるが、キリン科はキリン属とオカピ属からなっていて、首の長いキリンは所謂キリン属に属していて、オカピはこれとは違うオカピ属に属している。 オカピは体長2~2.5m、体重は200~350kg程で、1.5~2m程の肩高がある。 首はキリンほどは長くはないが、耳は大きく、体つきはウマに似た感じがする。 体は濃い赤褐色や黒色に近い暗褐色などの体毛で覆われていて、臀部や四肢には白っぽい縞があり、これがオカピの特徴になっている。 このような外見から、オカピは当初シマウマなどの仲間だと考えられていたが、奇蹄目に属するシマウマの蹄はひとつになっているが、オカピの蹄はふたつに分かれている。 体は雌の方が少しばかり大きいが、雄にはキリンのように皮膚に覆われた7cm程度の角があることなどもオカピの特徴で、ウマの仲間とは異なっている。 また、オカピの口元から頬、首にかけては白っぽく、耳はロバのように大きいほか、熱帯雨林に生息している為、体毛は雨をはじく油分のある短い毛をしている。 オカピの生態・生活 野生下でのオカピの生活の様子は詳しく分かっていないが、他のキリンのようにサバンナ地帯や開けた草原などで見られることはなく、森林地帯に生息している。 この為、英名では「Forest giraffe」と呼ばれることもあるが、湿地林などでは見られない。 また、オカピは低地でも見られるが、多くは標高500~1000m程のところに生息していて、標高1500m辺りまで見られる。 キリンのように群れをつくることはなく、普段は単独で生活しているが、食料の豊富な所では、小さな群れが観察されている。 聴覚、視覚ともによく発達していて、警戒心は強いと言われている。 鳴き声はキリンのものと同じように聞こえると言われているが、滅多に鳴き声をあげることはない。 オカピは主に昼間に活動するが、時には夜間も活動することもあり、これもふつうのキリンとは違っている。 食性は草食性で、キリンのように長い舌を使って、主に木の葉や芽、果実などを舌でからめとって食べることなどは同じだが、オカピは地上の草やシダ類なども食べる。 反芻動物で、休んでいるときには反芻し、足を広げて首を下げ水を飲むことはキリンと同じで、ミネラル補給のため、時折粘土を舐めたりすることもキリンと変わらない。 また、 歩行するときもキリンと同じで、片側の前足と後足を同時に踏み出して歩くが、オカピは焼けた木炭を食べたり、木の洞などからコウモリの糞をなめたりしているのが観察されている。 詳しい行動範囲は分かっていないが、雄は13平方km、雌は3~5平方km程度と考えられていて、雌は定住性が強いと言われている。 また、雄は縄張りをもち、尿などでマーキングするとも言われている。 主な外敵はヒョウだが、生息地では人にょって狩猟の対象とされることもある。 オカピの繁殖・寿命 野生での繁殖の様子なども分かっていないが、オカピには決まった繁殖期が見られないと考えられている。 しかし、コンゴ民主共和国の保護区の遺伝子サンプルにより、オカピの繁殖は一夫多妻で行われるとも考えられている。 飼育下での雌の妊娠期間は415~490日と長く、平均440日ほどで、ふつう1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は14~30kg程度、体高は75cm程度で、生後30分程で立ち上がることができる。 育児は雌によって行われ、子どもには半年から1年程の授乳期間がある。 飼育下では、雌は1年7ヵ月、雄は2年2ヶ月程で繁殖できることが分かっているが、3年程で成獣と同じくらいの大きさに成長し、この頃までには完全に性成熟している。 詳しい寿命なども分かっていないが、飼育下での寿命は長く、15~30年近くの寿命をもっていることが知られている。 オカピの保護状況・その他 オカピは世界的に珍しい動物で、ジャイアントパンダ、コビトカバと共に世界の三大珍獣に数えられることもある。 国内の動物園でも飼育例は少ないが、自然下での分布域も限られている。 それにもかかわらず、開発などによって生息域は減少していて、ウガンダに分布していたものは既に絶滅してしまったと考えられている。 コンゴ民主共和国ではオカピを保護動物に指定していて、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価でも、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定している。 しかし、一部の地域では密猟が行われているほか、森林の伐採などによる生息地の減少なども止まず、更なる保護も求められている。 尚、オカピは20世紀に入ってから発見され、学名の「johnstoni」は発見者であるハリー・ジョンストンの名前に因んでいる。 |
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オカピ