「ラクダ」は、ラクダ科の中でも背中にコブをもっているラクダ属を指す一般的な呼称として使われていて、現存するものではヒトコブラクダとフタコブラクダの2種が知られている。 また、広義の「ラクダ」は南アメリカに分布しているラマ属とビクーナ属を含めたラクダ科の動物の総称としても用いられ、南アメリカに分布しているものは、ビクーナ(ビクーニャ)、グアナコ、ラマ、アルパカの現在4種が知られている。
ラクダの分布域・生息環境 ラクダ属 背中にコブをもっているラクダ属はアジア・アフリカに分布していて、モンゴル辺りからアジア南部、中央アジアやアラビア半島を経てアフリカ北部などにかけて分布している。 砂漠や半砂漠地帯などに生息しているが、ヒトコブラクダはすべて家畜として利用されていて、野生のものは、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などに少数のフタコブラクダが生息している。 ラマ属、ビクーナ属 ラマ属、ビクーナ属のものはすべて南アメリカに分布していて、主にアンデス山脈の西側に分布している。 3000~5000m程の高地の草原などに生息しているが、野生のものはビクーナとグアナコで、ラマとアルパカは家畜種として放牧飼育されている。 ラクダの大きさ・特徴 ラクダ属 アジア・アフリカが原産のラクダは背中にコブがあることが大きな特徴で、コブの中には脂肪がたまっている。 体長は3~3.5m程で、四肢には2本の指をもっていて、蹄は小さいが、角質化した大きな蹠球(しょきゅう/足裏の出っ張り)をもっている。 この蹠球は座布団のような役割をしていて、地面につく足裏の面積を大きくしているのも特徴になっている。 毛色は所謂キャメル色で、首は長く、四肢も細くて長い。 ヒトコブラクダ、フタコブラクダは共に砂漠地帯や荒れた乾燥地帯やステップなどに生息している。 その為、まつ毛は長く、鼻孔は自由に閉じることができ、砂塵などが入ることを防いでいる。 膝にはたこが見られ、硬い地面に座ることにも適しているほか、大きな蹠球も砂に足が沈まないように助けている。
ラマ属、ビクーナ属 南アメリカに分布しているラマ属とビクーナ属には4種が知られているが、体長は1.3~2.3m程で、ラクダ属のものよりは体が小さい特徴がある。 いずれも背中にコブをもっていないことも特徴になっているが、胃は四室に分かれていて反芻することなど、アジア・アフリカに分布しているラクダ属と多くの共通点が見られる。
ラクダの生態・生活 ラクダ属 アジア・アフリカに分布するラクダ属のものは、砂漠や半砂漠、ステップなどの乾燥した環境の中に生息していて、いずれも群れをつくって生活している。 草食性で、草類や木の葉などを食べるが、胃は四室に分かれていて反芻を行う。 また、ラクダの上唇はウサギのようにふたつに分かれていて、反芻するときには下顎を左右に動かして行う特徴がある。 水は暑さの厳しい砂漠地帯でも数日程の間は飲まずに過ごすことができるが、背中のコブには脂肪が詰まっていて、水の貯蔵とは関係がない。 しかし、水は一度に60~130リットル程も飲むことができ、他の哺乳類とは違い、血液中にも多くの水を吸収する事ができる特徴をもっている。 また、発汗や尿の排出は抑えられ、乾燥した糞を排出するなど、ラクダ属は体温調整をうまく行っていて、乾燥した砂漠地帯などでの生活に適応した体をしている。 持久力や耐久力もあり、重い荷物を乗せて長距離を移動できるほか、ゆっくり走っているように見えるが、時速にすると40km程の速さで駆けることができ、短い距離なら60km/h程の速度でかけることができると言われている。 (しかし、ラクダは交互に同じ側の足を出して歩く側対歩であるため、ウマなどと比べると乗り心地は悪い) この為、ラクダ属のものは古くから大切な家畜として利用されていて、現在も多くは砂漠地帯などでの荷物の運搬用に使役されているが、乳や肉も食用に利用されるほか、皮や被毛なども利用されている。 ラマ属、ビクーナ属 南アメリカに分布するビクーナ属とラマ属は、主にアンデス地方の山岳地帯に生息していて、高地の草原地帯で見られる。 家畜種であるアルパカとラマはすべて放牧飼育されているが、グアナコも一部が家畜化されている。 ビクーナは野生種で、少数の群れをつくって生活している。 いずれも食性や習性などはラクダ属とほとんど変わらず、草食性で、休んでいるときには反芻をしている。 古くから家畜として利用されていることも同じで、ビクーナやグアナコ、アルパカなどの被毛は上質なのものとしてウール製品に利用されている。 ラマは主に使役用に利用されているが、肉や脂肪などが利用され、糞は燃料に利用されることもある。 ラクダの繁殖・寿命 繁殖期には幅があるが、ラクダ属のものは主に雨季の時期に見られる。 南アメリカのビクーナやグアナコの繁殖期は12~4月頃に見られるが、家畜種のものは繁殖期が長い傾向があり、アルパカなどは1年を通して繁殖するとも言われている。 ラクダ科のものはいずれも一夫多妻だが、ラクダ属のものは体が大きいためか、雌の妊娠期間は13~15か月ほどの長さがある。 南アメリカ分布するものの雌は妊娠期間11ヵ月ほどで、ラクダ属よりは短くなっている。 しかし、いずれもふつうは1産1子を出産し、子どもは生後しばらくすると歩くことができるようになる。 性成熟するまでの期間もラクダ属の方が長く、雌は3~4年、雄は5~6年程かかるが、ラマ属やビクーナ属のものの雌は1~2年、雄は2~3年ほどで性成熟すると言われている。 寿命はラクダ属の方が長く、飼育下では30~40年ほどの寿命をもっているが、南アメリカのものは飼育下で15~20年程度と言われている。 ラクダの保護状況・その他 ラクダ科の動物はかなり古くから家畜として利用されているが、現在も使役動物として利用されているほか、乳や肉、被毛なども利用される大切な家畜として飼育されている。 その為、個体数は多いが、ヒトコブラクダは既に野生種は絶滅していて、現在のものはすべて家畜種になっている。 フタコブラクダもほとんどが家畜化されていて、野生下のものはゴビ砂漠などに少数が生息しているだけで、国際自然保護連合では絶滅危惧種(CR)に指定している。 南アメリカに分布するラマとアルパカも古くからの家畜種で、多くのものが放牧飼育されていて、個体数は安定している。 ビクーナとグアナコも一時は個体数が激減した時期があったが、保護政策などにより個体数は増加し、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 尚、写真はいずれもラクダ属 |
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ラクダ (ラクダ科)