バーバリーマカクはアフリカ北西部のモロッコやアルジェリアなどに分布しているオナガザルの仲間で、アフリカに分布する唯一のマカク属として知られている。 多くはモロッコ側のアトラス山脈で見られるが、一部のバーバリーマカクは対岸のジブラルタルにも生息している。 ジブラルタルに生息しているものも、ヨーロッパで見られる唯一の野生ザルと言われているが、観光化してしまっている面もあり、半ば野生を失ってしまっていると言われている。 また、ジブラルタルのバーバリーマカクは自然分布ではなく、7~8世紀頃にイスラム圏から導入されたものとも言われている。 体の大きさには幅があるが、平均するとニホンザルほどの大きさで、体つきはがっしりとしている。 毛はやや長くて厚く、毛色は黄色っぽい灰色や灰色を帯びたような茶色、褐色などで、腹面は白っぽい。 尾は痕跡程度で、あっても極めて短い。 この為、ゴリラやチンパンジーのようにエイプ(尾がないサル)として、バーバリーエイプと呼ばれることもある。 ニホンザルのように、頬には一時食べ物を蓄えておくことができる頬袋をもっている。 また、四肢には5本の指があり、爪はすべて平爪をしている。 親指は他の4本と対向していて、物をつかむことが出来る。 比較的標高の高い渓谷や断崖などの環境を好み、杉や樫の木が多い森林地帯に生息している。 標高1500~2500m程のところに多く見られるが、標高の低い雑木林や岩のある低木林などでも見られる。 昼間に活動し、バーバリーマカクは社会的な群れで生活している。 平均した群れの数は20~25頭程だが、時には60頭程の群れになることもある。 また、雌雄の数はおよそ1 : 1と言われているが、群れは母系家族であるほか、雌雄共に社会的な階級をもっている。 日中は多くの時間を採食や移動に費やし、木登りも巧みで、採食は地上と樹上の両方で行われる。 主に果実や花、木の葉や種子、芽、樹皮、球根などの植物質のほか、バッタなどの昆虫類を食べるが、ミミズやクモ、カエルやオタマジャクシなど、季節によって様々なものを食べる。 行動範囲は3~9k㎡程度と言われているが、行動範囲はしばしば他の群れと重複している。 コミュニケーションは様々な鳴き声によって行われるが、隣接する他の群れの鳴き声も聞き分けることができ、群れによって鳴き声が違っているとも言われている。 一夫多妻で、繁殖期は11~3月頃で、妊娠期間160~170日程で、子どもは4~6月頃に多く生まれている。 1産1~2子、普通は1子を出産し、生まれたばかりの子どもの体重は400~500g程で、7~12ヵ月程で離乳する。 繁殖はより支配的な雄の機会が多いが、バーバリーマカクは群れの仲間が共同で育児を行うことが知られている。 育児は群れの雌たちだけでなく、若い雄も参加し、外敵などからも子どもを守るようにしている。 また、雄同士が争うような場合、劣勢の雄が子どもを抱き上げて優勢の雄に差し出すようにすることがあるが、この時、優位の雄は攻撃をやめて、2頭が一緒になって子どもをなだめるような様子が観察されている。 この様子はチベットモンキーなどでも見られ、子どもは群れを安定させる役目をもっていると考えられている。 雌雄共に4年程で性成熟し、雌は出生した群れに残るが、雄は群れから離れていく。 飼育下の寿命は25年程度、野生では17~22年程度で、、雌の方が長生きすると言われている。 外敵はジャッカルやキツネ、ワシなどの猛禽類があげられるが、一番の外敵は人間で、近年の森林伐採や家畜の放牧などによる競合もあって、生息地は減少している。 この為、バーバリーマカクは食料の乏しい地域に移動せざるを得ない状況にあり、現在は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに、絶滅危惧種として指定されている。 オナガザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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バーバリーマカク