動物図鑑・キンシコウ

キンシコウ

キンシコウさんのプロフィール


キンシコウ
キンシコウ 1キンシコウ 2キンシコウ 3キンシコウ 4
和 名 キンシコウ
分 類 霊長目・オナガザル科
学 名 Rhinopithecus roxellana / Pygathrix roxellana
英 名 Golden snub-nosed langur / Golden snub-nosed monkey
分布域 中国
生息環境 主に山岳地帯
体 長 雄で53~76cm 程度、雌で47~52cm 程度
尾 長 雄で60~80cm 程度、雌で48~52cm 程度
体 重 雄で16~20kg 程度、雌で9~13kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)
キンシコウは中国に分布しているオナガザル科のサルで、「孫悟空」のモデルとも言われている。

山岳地帯の森林に生息していて群れをつくって生活しているが、夏には群れが集まり、大きな群れをつくることが知られている。

●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


キンシコウの分布域・生息環境
キンシコウは中国の湖北省や陝西省、甘粛省や四川省などのチベット高原沿いに分布している。

山岳地帯の広葉樹林や針葉樹林、混合林などに生息していて、標高1600~4000m程ところで見られるが、気温の下がる冬季には、やや低いところに降りてくる。


キンシコウの大きさ・特徴

キンシコウは体長47~76cm程で、体や四肢はがっしりとしていて、尾は長く、体長と同じ程度の長さがある。

体は雄の方が大きく、雌の平均体重は9~13kgほどだが、雄の平均体重は17~18kg程度で、雌よりもかなり大きい。

キンシコウは全身が茶褐色やオレンジ色などの長い毛で覆われているのが特徴で、光の具合などによって金色に見えるため、別名・ゴールデンモンキーと呼ばれることもある。

腹部は淡い色をしているが、目の周りと鼻、口の部分には毛がなく、目の周りは水色、口は白っぽいが水色を帯びている。
鼻は上向きで、鼻孔は目の近くで開いて、キンシコウは特徴的な顔をしている。

雄では首筋から背中、尾にかけては灰褐色で、肩の毛はコロブスほどではないがタテガミのように長くなっていて、雌では同じ部分が茶色かがった黒色をしている。

また、成熟した雄は唇の両側にイボが現れ、犬歯も雄の方が長い。


キンシコウの生態・生活

キンシコウは標高1,800~3,300m程の高山に生息していて、同地域に分布しているチベットモンキーと共に、サル類の中では寒い地域に分布している。

時には標高4,000m程のところにも見られるが、雪のある冬季には低いところに移動する。

広葉樹林から針葉樹林などのシャクナゲ、竹林などのあるところに生息していて、群れをつくって生活している。

群れの最小単位は家族群で、1頭の雄に対して複数の雌とその子どもから構成されている。
その家族群がいくつか集まって、40~60頭ほどの群れで生活しているが、群れの中には複数の若い雄だけのグルーブも見られる。

また、キンシコウは、食料の豊富な春から夏には、これらの群れが更に集まり、時には300頭、希に600頭ほどの群れをつくることがある。

このような季節的な大きな集合と分散を行うのは霊長類では珍しいと言われていて、キンシコウは独特の社会構造をもっているとも言われている。

群れの行動範囲は15~50平方km程度と考えられていて、かなり広い行動範囲をもっているが、行動範囲は生息環境や食糧事情などによって変化する。

キンシコウは昼間に活動し、ほとんど樹上生活していて、地上に降りてくることはほとんどない。
樹上でも高い木の樹冠部などに多く、低木では見られないとも言われている。

主に木の葉や果実、種子やタケノコなどを食べるが、昆虫や小鳥、その卵などの動物質も少しは食べる。
また、冬には樹皮や芽も食べるなど、キンシコウは季節によってさまざまなものを食べる。

詳しい外敵は分かっていないが、トラヒョウアジアゴールデンキャットドールキツネなどが指摘されているが、キンシコウは樹上生活をしているので、ワシなどの猛禽類に襲われることもあると言われている。

しかし、キンシコウの一番の外敵はおそらく人間で、美しい毛皮を目的としたり、肉と骨は食料や漢方薬に利用するために狩猟されていて、現在も密猟などが行われている。


キンシコウの繁殖・寿命

キンシコウの繁殖期は地域によって差があるが、主に8~11月頃に見られると言われている。

繁殖は一夫多妻で行われ、雌は妊娠期間174~210日、平均すると200日程の後に、ふつうは1産1子を出産する。

生まれたばかりの子どもの体重は500g、体長は20~25cm程で、体毛は黒っぽい色をしている。
育児は主に雌が行うが、他の雌も育児を手伝うこともある。

子どもには1年ほどの授乳期間があり、雄は5~7年、雌は4~5年で性成熟する。
また、雌は成熟しても出生した群れに残るが、雄は成熟する頃には群れから離れ、近くの群れの中などに入っていか、若い雄だけの群れをつくる。

キンシコウの野生での寿命は分かっていないが、飼育下での寿命は20年を超えるものが知られている。


キンシコウの保護状況・その他

キンシコウは、かつてはチベットや雲南省などにも分布していたが、近年の開発による生息地の減少などにより、それらの地域では既に見られなくなっている。

現在、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定していて、国際的に保護されている。

しかし、野生下でのキンシコウの研究はあまり進んでいないと言われていることもあり、更なる生息地の減少と、それに伴う個体数の減少が心配されている。

尚、キンシコウは金色の毛と強い跳躍力があるため、「孫悟空」のモデルともいわれるが、「金絲猴」を「キンシコウ」と読むのは日本読みで、中国では「チン・ス・ホー」と読む。
また、キンシコウはチベットコバナテングザルなどと呼ばれることもある。

この他、キンシコウには3亜種に分類されると考えられている。

Rhinopithecus roxellana roxellana (Moupon golden snub-nosed monkey)
四川省と甘粛省に分布する基亜種

R. r. hubeiensis (Hubei golden snub-nosed monkey)
湖北省に分布

R. r. qinlingensis (Quinlin golden snub-nosed monkey)
陝西省に分布

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