マヌルネコはロシアのバイカル湖周辺のヤブロノヴイ山脈、サヤン山脈からモンゴルを経てチベッやネパール、インドのヒマラヤ山脈、西はカザフ高原やカスピ海の南のエルブールズ山脈辺りまで広く分布している小型のヤマネコで、森林のほか、樹木のないステップ地帯や岩場などに生息しているものが多い。 しかし、ゴビ砂漠やキジルクーム砂漠、カラクーム砂漠などでは見られず、比較的標高のある山地に生息している。 マヌルネコは大きなイエネコ程の大きさで、見た目もそんな感じがする動物だが、他のネコ科のものに比べて足が短く、ずんぐりとした感じがする。 特徴的なのは毛がかなり長くて密生している点で、これによって、マヌルネコの体はずんぐりとした上に、よく太っているようにも見える。 マヌルネコがヤマネコとしてはかなり長い毛をもっているのは、同じアジアに分布しているベンガルヤマネコなどよりも北方の寒いところに分布していることがあげられる。 また、マヌルネコは低地だけでなく、標高3,000~4,000mの高地にも多く生息していて、むしろ低地に棲むものの方が希であるとも言われている。 この為、寒さから身を守るために長い毛をもっているとも考えられているが、深い雪が積もっていないようなところでは、標高4,500mを超す高所でも目撃されている。 毛色は灰黄色で、赤っぽいものもいるが、腹部は白っぽく、四肢は黄土色のようなをしている。 毛は季節によって生え変わり、冬毛は夏のものよりも灰色が強い。 頭部は灰白色で、小さな黒斑があり、ほおには黒い縞のある長い毛が見られる。 尾の先には黒い輪があり、先は黒い。 また、背中の後方、腰の辺りには褐色の横縞が数本はしっているので、キジネコなどの別名で呼ばれることもある。 顔の感じは額が高く、耳は左右に離れていて、短くて幅が広い。 鳴き声はしわがれたイエネコのような声を出す。 また、マヌルネコの虹彩は黄色をしているが、他のネコ科のように、瞳孔は明るいところでも縦に細くならずに、丸いまま収縮する特徴がある。 多くのネコ科のものと同様、ふだんは単独で生活している。 昼間も活動するが、主として夜行性で、昼間は岩穴や岩の割れ目などで休んでいるが、マーモットやアナグマ、キツネなどの掘った穴などに潜んでいることも多い。 早朝や夕暮れに活発に活動し、主にウサギやネズミ類をとらえるほか、リスなどの小さな囓歯類、また鳥なども食べるが、獲物は岩陰などで待ち伏せしてとらえることが多い。 野性状態での繁殖の様子などは詳しくわかっていないが、ふつうは1~6子を出産すると考えられている。 出産は4月下旬から5月頃にかけて行われ、妊娠期間は66~75日前後と言われている。 生まれたばかりの子どもは体重100g程で、生後3~4ヵ月頃には狩を行うようになる。 また、飼育下での寿命は11年までは生きることが知られていて、繁殖活動もよく見られる。 しかし、子どもの死亡率が高く、飼育・繁殖は難しいとされている。 これはマヌルネコが病原菌の少ない高所に生息している為、飼育下での免疫力が低いのではないかとも考えられている。 かつては毛皮を目的とした狩猟の対象にもなっていたが、近年は生息地の開発なども加わり、生息数は減少している。 現在、マヌルネコは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、レッドリストに準絶滅危惧種(NT)として指定されているが、マーモットなどと間違われて狩られることもある。 この他、「マヌル」とは、モンゴル語で「小さいヤマネコ」という意味で、別名モウコヤマネコとも呼ばれている。 尚、マヌルネコには、現在3亜種が確認されている。
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マヌルネコ (モウコヤマネコ)