動物図鑑・コビトカイマン

コビトカイマン (キュビエムカシカイマン) さんのプロフィール



動物図鑑・コビトカイマン

コビトカイマン
(キュビエムカシカイマン)

ワニ目・アリゲーター科
学 名 Paleosuchus palpebrosus
英 名 Musky caiman / Dwarf caiman / Cuvier's caiman / Smooth-fronted caiman
分布域 南アメリカ北東部
生息環境 森林を流れる河川や、湖沼周辺の氾濫原など
全 長 1.2~1.4m 程度
体 重 6~7kg 程度

コビトカイマンは、ブラジルカイマンと共にコビトカイマン属を構成している小型のワニで、新大陸で見られるワニの仲間の中ではもっとも体が小さいと考えられている。

別名・キュビエムカシカイマンとも呼ばれ、森林内を流れる大小の河川などに広く生息している。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


コビトカイマンの分布域・生息環境
コビトカイマンは、ベネズエラからコロンビア、ペルーを経て、パラグアイ、ブラジルに至る南アメリカの北部に分布している。

アンデス山脈の東に分布していて、アマゾン川やオリノコ川、パラナ川やパラグアイ川流域などで広く見られ、河川や湖沼、雨季に洪水が起こる氾濫原などに生息している。


コビトカイマンの大きさ・特徴

コビトカイマンは、名前のように、ワニの中ではもっとも体が小さいとされている。
平均した体長は、雄で1.3~1.5m、雌では1.2m程で、大きいものでも全長1.7m程のものしか記録されていない。

ニシアフリカコビトワニヨウスコウワニなどよりも小さく、両種に比べると、体重も随分と軽くなっている。

しかし、南アメリカの中央部に位置するパンタナル地域のものは、尾の先が失われていたが、鼻から排泄孔の長さ(1.1m程度)から推測すると、全長は2.1m程だったとされている。

いずれにしても体は小さく、脊鱗板には目立つ隆起があり、尾部に見られる二列の鱗は小さいが、縦に突出している。
四肢の爪は鋭く、後肢には、小さいが水掻きがある。

吻は反りあがっていて、目は比較的大きく茶色をしているが、中には金色の目をしているものも知られている。

また、首は比較的細く、ほとんどのカイマンの仲間は上顎に5つの前顎歯があるが、コビトカイマンには4本しかない特徴がある。

体色は、背側は黒褐色や赤褐色の様な色で、腹側は淡い色をしているが、子どもは茶色っぽく、不規則な黒色の帯や斑が見られる。


コビトカイマンの生態・生活

コビトカイマンは、主に森林内を流れる河川や小川などに生息していて、ふつうは単独や雌雄のペアで生活している。

湖沼や氾濫原など、流れのないようなところでも見られるが、比較的流れのある流水域を好む傾向がある。

また、澄んだ水域に多く、淡水生のワニで、汽水域などの塩分の多いところは避けると言われている。

主として夜行性で、夜間には水源からかなり離れたところまで移動することもあり、乾燥した土地を渡って、サバンナに見られる浸水後に残された一時的な池などで見られることもある。

他のワニ類よりも冷たい水に対して耐性があるとも言われていて、6℃の水温でも生存できると考えられている。
その為、冷水を好む傾向があるとも言われているが、岩の上などで日光浴をしていることもある。

具体的な行動範囲は分かっていないが、成熟した雄は縄張りを主張し、季節によってその範囲は変化すると言われている。

肉食性で、子どものうちは主に無脊椎動物を食べるが、オタマジャクシやカエル、甲殻類や水生昆虫なども食べる。

成長と共に魚類を多く食べるようになり、両生類や鳥類、甲殻類のほか、小型の哺乳類などもとらえる。
獲物はほとんどが丸呑みにされ、砂嚢内の胃石で砕かれて消化される。

性質はおとなしく、危害を加えたりしなければ人を襲うようなことはないと言われているが、繁殖期や飼育下では気が荒くなる。

外敵はジャガーやグリーンアナコンダなどが挙げられるが、コビトカイマンは硬い皮膚と突出した鱗によって守られていて、近縁種よりも捕食者が少ないと言われている。

しかし、子どもや卵は猛禽類やヘビ、アライグマなどの哺乳類などにも襲われることがある。


コビトカイマンの繁殖・寿命

コビトカイマンの繁殖は一夫多妻で、特に決まった繁殖期はなく、地域によって異なっている。

一般に、繁殖は年に1回行われ、乾季の終わりや雨季のはじまりに見られる。
また、飼育下では、栄養状態が良いと、年に2~3回繁殖することができると言われている。

雌は植物や泥を用いて塚状の産卵用の巣をつくるが、コビトカイマンは雄も巣作りを手伝うと言われている。

雌は交尾の後4~5ヶ月で、一度に10~25個程の卵を産卵する。

産卵の後、巣は植物などで覆われ、卵はおよそ90日程で孵化するが、雄は雌が産卵した後は立ち去ることが多く、雌や巣の近くに留まっていることは少ない。
一方、雌は卵が孵化するまでは近くに留まり、外敵などが近づかないよう、よく警戒している。

生まれたばかりの子どもは粘液に包まれていて、これが乾燥するまで、数日間は水へ入ることを遅らせることがある。

また、子どもの性別は、孵卵時の巣の温度に左右され、低温では多くの雌が発生するのに対し、温度が高くなるほど、より多くの雄が生まれると言われている。

雌は数週間ほどの間は子どもの周りで生活しているが、その後は離れていき、子どもは独立した生活を送るようになる。

ところで、孵化がはじまると、雌は子どもの鳴き声を聞き分け、巣の周りの土や植物を取り除き、子どもが巣から出てくるのを助けたりすると言われている。
しかし、必ずしもその行動が観察されているわけではなく、孵化した子どもだけが見られることもある。

雌雄共に8年程で性成熟するが、性成熟は体の大きさによって左右され、完全に成熟するには10~15年程かかるとも考えられている。

また、ワニの仲間は寿命が長いことが分かっているが、コビトカイマンの詳しい寿命は分かっていない。
しかし、野生では20~40年程の寿命があることが知られていて、飼育下では20~60年程の寿命があると考えられている。


コビトカイマンの保護状況・その他

コビトカイマンは、分布域が広いこともあり、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

一部の地域では食用に利用されることがあるが、コビトカイマンは森林の深いところに生息しているので、狩猟は難しいと言われている。

また、ワニ類の多くは皮革を目的とした狩猟が行われているが、コビトカイマンの皮はあまり利用されることがない。

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