ワタボウシタマリンは、コロンビア北西部などの熱帯林に分布しているオマキザル科の動物で、別名、ワタボウシパンシェとも呼ばれている。 体長20~30cm程度の小型のサルで、尾は体長よりも長い。 名前のとおり、特徴的な綿帽子のような白いふさ毛が頭頂部にあり、首筋から背中にかけて伸びている。 また、背中から尾にかけては褐色や茶褐色で、胸や腹部、前足は白っぽく、後ろ足の内側も白っぽい。 顔は黒っぽく、毛が短いので半ば裸出した感じがするが、目から鼻、口の回りにかけては白い毛で縁取られているような感じがする。 前肢は後肢よりも短く、四肢には五本の指があり、後肢の親指は平爪であるが、ほかの爪はすべて鉤爪をしている。 昼行性の動物で、多くは雌雄とその子どもからなる家族を中心とした3~9頭ほどの群れを形成しているが、他の群れから入ってきた若い固体なども加わり、13~19頭程の群れになることもある。 これら外部から入ってきたものはヘルパーとして行動を共にするが、グループを形成する傾向が見られる。 乾燥した熱帯林や二次林などに生息し、ほかのタマリンのように主として樹上生活をしているが、ワタボウシタマリンは比較的低い樹層に多く見られ、時に地上に降りることもある。 また、ふつうは標高400m位までの森林地帯に生息しているが、時に標高1500m程の高地でも観察されている。 動きは活発で、枝から枝へ敏捷に動きまわるが、樹上で休むときは、キツネザルやオナガザルなど、ほかのサルのように後足を使って座るようにするのではなく、腹這いになっていることも多い。 広い行動範囲を移動しながら採食することもほかのタマリンと同じで、7~10ヘクタール程の行動範囲を持っていると考えられている。 他の群れに対しては排他的で、胸部や肛門などの分泌腺を木にこすりつけて縄張りを主張する習性がある。 雑食性で、果実や若葉、樹液などを食べるほか、ワタボウシタマリンは肉食性が強く、昆虫や小鳥、小鳥の卵などの他、トカゲやカエルなどを好む傾向がある。 また、鳴き声は高音で、小鳥のような声でなく。 一夫一婦で、繁殖は群れの中の上位の雌によって行われる。 半年ほどの妊娠期間の後、ふつう1産1子を出産するが、2~3子を出産することもあり、その場合は群れの中で共同で飼育が行われる。 また、野生での繁殖はふつう1年に1度だが、飼育下では2回行われることもある。 生まれたばかりの子どもの体重は40g程で、3ヶ月を過ぎる頃までは、親の背中に乗って移動する。 雌は1年半、雄では2年程で性成熟し、野生での寿命は15年程度と考えられているが、飼育下では25年を超すものが知られている。 外敵はジャガーやオセロットなどが考えられるが、ワタボウシタマリンは樹上生活をしている為、フクロウやタカなどの猛禽類やヘビなどに襲われることの方が多い。 ワタボウシタマリンはコロンビア北西部でも限られた地域に生息しているが、近年では生息地の開発や破壊などによって固体数は激減していて、現在の生息数は1000頭程度とも言われている。 国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価では絶滅危惧種(CR)としてレッドリストに指定されているが、ワタボウシタマリンには更なる保護が求められている。 尚、ワタボウシタマリンをはじめムネアカタマリンやアカテタマリンなど、タマリンの仲間は霊長類の中では最小のひとつで、以前は独立したマーモセット科(キヌザル科)として扱われていた。 現在もその支持は多く、コモンマーモセットなどのマーモセット属と共に、マーモセット科として分類されることもある。 オマキザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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ワタボウシタマリン