ワタボウシタマリンは、コロンビア北西部の熱帯林に分布しているオマキザル科の動物で、別名・ワタボウシパンシェとも呼ばれている。 体は小さく、頭部には白いふさ毛があるのが特徴になっている。
ワタボウシタマリンの分布域・生息環境 ワタボウシタマリンはコロンビア北西部に分布しているが、北は大西洋、南はカウカ川、東はマグダレナ川、西はアトラト川に挟まれた狭い地域にだけ分布している。 熱帯雨林や開けた森林地帯、低木林や二次林などに生息しているが、森林の多くは開発などにより減少していて、生息地は連続していない。 ワタボウシタマリンの大きさ・特徴 ワタボウシタマリンは体が小さく、体長は20~28cm程でリスザルと同じ程か少し小さく、平均した体重は420~450g程しかない。 雌雄ともに体の大きさに変わりはなく、いずれも体長よりも長い尾をもっている。 名前のとおり、特徴的な綿帽子のような白いふさ毛が頭頂部にあるのが特徴で、首筋から背中にかけて伸びている。 また、背中から尾にかけては褐色や茶褐色で、尾は茶褐色をしている。 胸や腹部、前足は白っぽく、後ろ足の内側も白っぽい。 顔は黒っぽく、毛が短いので半ば裸出した感じがするが、目から鼻、口の回りにかけては白い毛で縁取られているような印象もワタボウシタマリンの特徴になっている。 前足は後足よりも短く、四肢には五本の指があり、後足の親指は平爪だが、ほかの爪はすべて鉤爪をしている。 ワタボウシタマリンの生態・生活 ワタボウシタマリンは昼行性の動物で、乾燥した熱帯林や二次林などに生息している。 多くは雌雄とその子どもたちからなる家族を中心とした3~9頭ほどの群れをつくっているが、他の群れから入ってきた若い固体なども加わり、13~19頭程の群れになることもある。 これら外部から入ってきたものなどはヘルパーとして行動を共にするが、群れの中でグループを形成する傾向が見られる。 ほかのタマリンのように主として樹上生活をしているが、ワタボウシタマリンは比較的低い樹層に多く見られ、時に地上に降りることもある。 樹上では長い尾でうまくバランスをとっているが、尾はものに巻き付けたりすることはできない。 また、ふつうは標高400m位までの森林地帯に生息しているが、時に標高1500m程の高地でも観察されている。 雑食性で、果実や若葉、樹液などを食べるが、ワタボウシタマリンは肉食性が強く、主に昆虫類を食べる。 昆虫類と果実類で食べ物の70~80パーセントを占めるとも言われているが、小鳥やその卵などの他、トカゲやカエルなども好む傾向がある。 動きは活発で、枝から枝へ敏捷に動きまわるが、樹上で休むときは、キツネザルやオナガザルなど、ほかのサルのように後足を使って座るようにするのではなく、腹這いになっていることも多い。 広い行動範囲を移動しながら採食することもほかのタマリンと同じで、平均すると7~10ヘクタール程の行動範囲を持っていると考えられている。 縄張り意識は強く、他の群れに対しては排他的で、胸部や肛門などの分泌腺を木にこすりつけて縄張りを主張する習性がある。 鳴き声は高音で、小鳥のような声で鳴くが、危険を感じたりすると鋭い声をあげて仲間に知らせる。 外敵はジャガーやオセロットなどが考えられるが、ワタボウシタマリンは樹上生活をしている為、フクロウやタカなどの猛禽類やヘビなどに襲われることの方が多い。 ワタボウシタマリンの繁殖・寿命 ワタボウシタマリンの詳しい繁殖期は分からないが、出産や育児は1~6月頃にかけて見られると言われている。 繁殖は一夫一婦で行われ、繁殖は群れを率いる上位の雌雄によって行われる。 雌の妊娠期間は140日程だが、180日近くなることもあると言われていて幅がある。 雌はふつう1産1子を出産するが、2~3子を出産することもあり、そのような場合は群れの中で共同で飼育が行われる。 また、野生での繁殖はふつう1年に1度だが、年に2回繁殖するとも言われていて、飼育下でも2回の繁殖が行われることがある。 生まれたばかりの子どもの体重は40g程で、3ヶ月を過ぎる頃までは、親の背中に乗って移動する。 雌は1年半、雄では2年程で性成熟し、野生での寿命は15年程度と考えられている。 しかし、飼育下での寿命は長く、23年を超すものが知られている。 ワタボウシタマリンの保護状況・その他 ワタボウシタマリンはコロンビア北西部でも限られた地域に生息しているが、近年では生息地の開発や破壊などによって固体数は激減していて、生息地も連続していない。 ほとんどのものは国立公園内に生息しているが、現在の生息数は1000頭程度とも言われている。 国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価では絶滅危惧種(CR)としてレッドリストに指定しているが、ワタボウシタマリンには更なる保護が求められている。 尚、ワタボウシタマリンをはじめムネアカタマリンやアカテタマリンなど、タマリンの仲間は霊長類の中では最小のひとつで、以前は独立したマーモセット科(キヌザル科)として扱われていた。 現在もその支持は多く、コモンマーモセットなどのマーモセット属と共に、マーモセット科として分類されることもある。 |
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