スナネコは、アフリカ北部から西アジアにかけて分布しているヤマネコで、名前のように、毛色は砂のような色をしている。 体の大きさはイエネコほどで、雄の体重は2~3.4kg程度で、雌はやや小さい。
分布域・生息環境 アフリカ北部から西アジアにかけて分布していて、アフリカではサハラの北部、モロッコからアルジェリアを経て、エジプトにかけて分布している。 アジアでは、アラビア半島のイスラエルやサウジアラビア、アラブ首長国連邦などから、トルクメニスタンなどを経て、ウズベキスタンのアラル海周辺まで見られる。 大きさ・形態 体の大きさはイエネコほどで、ベンガルヤマネコよりも小さく、野生ネコの中では、もっとも小さいとされている。 雄の体長は50cm内外で、雌はそれよりもひと回りほど小さい。 雌雄ともに顔は幅広く、三角形の耳はやや離れているので、額が広く見える。 体毛は密生していて、毛は柔らかく、足の裏まで毛が生えている。 毛色は、背面が砂色から灰色で、腹面は白っぽい色をしている。 体側には不明瞭な横縞が10本近く見られ、四肢の中程にも、数本の暗色の横縞がある。 また、尾の先ほど近くにも暗色の輪があり、尾の先端は黒っぽく、耳の裏側の先端も、トラなどのように暗色になっている。 生態・生活 生息環境は岩砂漠や砂砂漠、砂丘などだが、地域によってやや差があり、植物の少ない平原から、低木などがまばらに茂る岩場などにも生息している。 しかし、いずれも乾燥した環境で生活していて、主にネズミなどのげっ歯類を捕食する。 聴覚と嗅覚は優れていて、砂の中に潜り込んでいる獲物を探し出すのに有利になっている。 足の裏まで生えている毛も、体が砂に沈み込むのを防ぐのに役立っていて、日中の熱い砂や岩の上を歩くにも、断熱材の役目を果たしている。 また、鳥類やトカゲなどの爬虫類のほか、昆虫なども食べ、水が少ない地域にあっては、水分は主に食物から摂取するが、水があると飲むことをする。 他のネコ科の動物と同様、木登りはするが得意ではない。 しかし、穴掘りは巧みで、日中の厚さを避けるため、昼間は浅い穴を掘って休んでいる。 この穴は、キツネやヤマアラシなどの古巣を利用することもあるが、季節によっては穴を掘らず、岩陰などで休んでいることもある。 主に夕方から夜間にかけて行動するが、夏の間は夜間に行動し、冬になると早朝と夕暮れに活動するものもいるので、地域によって行動時間が異なっているともいえる。 外敵は、オオカミやカラカル、ジャッカルなどで、ワシなどの猛禽類や大型のヘビに襲われることもある。 危険が迫ると、岩などがあればそこに隠れて身を護るが、砂漠などの開けたところでは、じっと動かずにしている。 スナネコの体色は、周りの砂や土の色に似ている保護色になっているので、動かずにいると案外見逃してしまう。 行動範囲や詳しい生活の実態などについては分かっていないが、これは、(地域によって異なるが)スナネコは日中の表面温度が50℃を上まり、夜間は-0.5℃まで下がるという、極端な条件下に生息していることによる観察条件にも起因している。 繁殖期以外は単独で暮らし、縄張りをもった生活をしていると考えられるが、ほかのネコ科の動物のように、尿によるマーキングが行われているのかなども定かではない。 繁殖・寿命 スナネコの繁殖についもよく分かっていないが、飼育下では年に1回以上繁殖する。 飼育下での妊娠期間は59~67日で、主に3~4月に繁殖する。 野生での繁殖期は、地域によって差があり、アフリカでは1~4月、トルクメニスタンでは4月頃に繁殖期がはじまり、パキスタンでは3~4月と9~10月の2回の繁殖期が見られると言われている。 繁殖期の違いは、気候条件や獲物の数などによって異なるのだろうが、雌はふつう1産4~5仔を出産する。 妊娠期間は平均して59~63日程で、1仔の時もあり、多ければ8仔ほどを出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は40g程で、体には濃い斑紋が見られる。 目は閉じているが、生後12~16日程で開き、子どもは6~8ヵ月ほどで独立する。 雌雄とも9~14か月ほどで成熟し、飼育下での平均寿命は13年程度。 また、長いものでは17年の寿命が確認されているが、子どもの死亡率が高いことも報告されている。 一方、野生での寿命は分からず、これよりは短いと考えられている。 保護状況・その他 この他、スナネコは、ふつうは人が近寄らないような環境に生息していることから、人為的なものによる生息数の減少は少ないと考えられている。 一方、それだけに生息数の実態なども分かっておらず、イエメンやイスラエル、パキスタンなどでは、既に絶滅したと考えられている。 かつてはモーリタニアやマリなどにも分布していたとされているが、現在では見られないとも言われていて、分布域の中でも生息地は分断されている状況になってしまっている。 その原因は、内戦や開発などによる生息地の減少や、それらによる獲物の減少も加わっていると考えられている。 国際自然保護連合(IUCN)では、軽度懸念(LC)としているが、現在、スナネコの分布域は分断されていて、「ワシントン条約附属書II」記載されていて、国際取引を規制しないと絶滅のおそれのある種になっている。 尚、スナネコは幾つかの亜種に別けられることがあり、IUCN では次の2亜種を記載している。 Felis margarita margarita アフリカ大陸北部に部分する基亜種で、毛色は黄色っぽく、斑や縞模様が多い。 Felis. m. thinobia アラビア半島から西アジアに分布する亜種で、基亜種よりは体が大きく、体の斑は少ない。 |
|
●その他のスナネコの写真へ ●ネコ科の動物へ ●このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
スナネコ