カナダガンは大型の水鳥で、別名カナダガモとも呼ばれている。 カナダやアメリカ合衆国北部辺りではよく見られる鳥で、普段は群れをつくって生活している。
カナダガンの分布域・生息環境 カナダガンは北アメリカに広く分布していて、多くは北アメリカ北部で夏を過ごし、寒い季節になるとアメリカ合衆国南部やメキシコ北部辺りまで移動するが、一部のものは留鳥として留まっている。 湖沼や河川などの水辺近くに生息しているが、開けた環境を好み、背の高い草木がある場所ではあまり見られない。 カナダガンの大きさ・形態 カナダガンは大型の水鳥で、平均した体長は75~110cm、体重は2.5~6.5kg程もある。 地域によって大きさなど変化があり、大きいものは体重が10kgを超え、翼開長も2.2mを超えるほどのものが記録されている。 雄は雌よりもやや体が大きいが、雌雄同色の鳥で、体は茶色や灰色がかった茶色をしていて、腹側は白っぽい色をしている。 頭部は黒色や茶色で、目の後ろから嘴の下にかけては特徴的な白い帯がある。 カナダガンの生態・生活 カナダガンは主に湖沼や河川周辺の開けた草地などに生息していて、低地から山地まで見られる。 耕作地のほか、草地が整備されている都市部の公園などでも見られ、さまざまな環境に適応している。 北アメリカではふつうに生息していて、時にはゴルフコースでも見られ、郊外の住宅地などに定住するものもいる。 普段は群れをつくって生活していて、主に草類や種子、根や穀類、果実などの植物質のものを食べるが、昆虫類や小魚、甲殻類なども食べる。 また、カナダガンは環境条件によって食物が得られない場合、最大で30日間は食べずにいることができるとも言われている。 外敵はアカキツネやホッキョクギツネ、ハイイロオオカミやコヨーテ、ヒグマやアメリカクロクマ、アライグマなど、外敵は多いが、成鳥が捕食されることは少なく、多くは卵やヒナが狙われ、カモメやカラスなどに襲われることもある。 しかし、カナダガンは狩猟の対象になっていることから、一番の外敵は人間で、ゴルフ場の芝を食べたり、小麦やトウモロコシなどの農作物に被害を与えることから害鳥として駆除されたりすることもある。 カナダガンの繁殖・寿命 繁殖期は4~6月にかけて見られ、一夫一婦で行われるが、ペアの関係は生涯の間続くと考えられている。 巣の多くは河川や湖沼近くの見晴らしのよい高台につくられることが多く、しばしば緩やかなコロニーを形成する。 巣作りは雌が担い、雄は巣材を集めたりしているが、カナダガンは稀にアメリカビーバーの巣の上につくることもあることが観察されている。 巣は小枝や草などが用いられていて、内には細根や羽毛などの柔らかい素材が敷かれている。 雌は2~10個、平均すると5個の卵を産み、抱卵も雌によって行われる。 雄はその間巣の周りを警戒しているが、卵は28~30日ほどで孵化する。 孵化後しばらくするとヒナは歩けるようになり、1日も過ぎると歩いて水辺に行くことができるようになり、泳ぐこともできる。 ヒナはひと月半からふた月ほどで巣立ち、飛ぶことができるようになるが、その後も、次の繁殖期までの1年ほどの間は親と一緒に生活している。 雌雄とも2~3年ほどで性成熟するが、カナダガンの平均寿命については詳しく分かっていない。 野生では足環による観察で28年を超えるものが報告されているが、平均すると10~20年程度と考えられている。 カナダガンの保護状況・その他 カナダガンは、かつては乱獲や生息地の開発、繁殖地においてのキツネの増加などによって個体数が減少した時期もあったが、その後の保護政策などにより個体数は増加し、現在は絶滅の恐れはないとされている。 近年は北米ではふつうに見られ、狩猟の対象にもなっているが、個体数は安定している。 その反面、農作物に被害を与えたり、都市近郊などへも進出していて、芝生を食べたりもすることから、害鳥として駆除されることもある。 尚、カナダガンには次の亜種が知られている。 Branta canadensis canadensis(Atlantic Canada Goose / カナダガン・基亜種) B. c. fulva (Vancouver Canada Goose・オオクロカナダガン) B. c. interior (Todd's Canada Goose・ナイチカナダガン) B. c. maxima (Giant Canada Goose / オニカナダガン・もっとも体が大きい) B. c. moffitti (Moffitt's Canada Goose・オオカナダガン) B. c. occidentalis (Dusky Canada Goose・クロカナダガン) B. c. parvipes (Lesser Canada Goose / チュウカナダガン・もっとも体が小さい) また、以前は亜種・Branta canadensis leucopareia(或いは Branta hutchinsii leucopareia) とされていたものは、現在はシジュウカラガン(Branta hutchinsii)として独立している。 |
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カナダガン