ムササビ

ムササビ さんのプロフィール


動物図鑑・ムササビ

ムササビ

齧歯目 リス科
学 名 Petaurista leucogenys
英 名 White-cheecked Flying Squirrel /
Japanese Giant Flying Squirrel
分布域 日本
生息環境 森林地帯など
体 長 27~49cm 程度
尾 長 28~42cm 程度
体 重 700~1,500g 程度

ムササビの仲間はアフガニスタン辺りからインドを経て東南アジア諸国、中国、朝鮮半島、日本のほか、フィンランドからロシアにかけて幅広く分布し、新世界では北アメリカからメキシコ、ホンジュラスなどにも分布していて、数多くの種が知られている。

広義での「ムササビ」はこれらリス科のモモンガ亜科に属するものの総称、或いはこの内のムササビ属の総称であるが、国内で「ムササビ」という場合は、日本国内に分布している Petaurista leucogenys を指して「ムササビ」という場合が多い。

ムササビの体色はふつう褐色や茶褐色などで腹部は白っぽいが、体の大きさは種や分布域などによって異なり、大きいものでは体長60cm近くにもなるウーリームササビなどが知られている。

左右の前肢と後足の間には大きな皮膜があり、下腿下部から尾の基部、前肢と頸側の間にも小さな飛膜をもっている。
ムササビはこの皮膜をうまく使って樹木の間などを滑空することができるが、滑空距離は10m程の高さから、無風状態では15~20m 、風にのれば100~200mもの距離を滑空することができると言われている。

滑空は採食に要する移動時間の短縮や、外敵から逃れることにも役立っているが、ムササビは空中での向きや速度などもうまくコントロールすることができる。
尾は体長と同じほど長く、フサフサとした尾は空中でのバランスを取るのに役立っていて、樹木に降り立つときにはエアブレーキの役目も果たしている。

但し、ムササビは樹木の間を滑空して移動することが出来るが、コウモリや鳥などのように羽ばたくような動力飛行は出来ない。

山地から平野部の森林や雑木林などに生息し、夜行性で、昼間は木の洞などで休んでいて、夜になると活動をはじめる。

雑食性で、昆虫類やクモ、カタツムリなどのほか、鳥の卵や果実、木の実、木の葉、樹液や種子、花や菌類などを幅広く食べるが、樹上性の動物で、採食もほとんど樹木の上で行われる。

採食も夜間に行われるが、嗅覚は優れていて、食べ物の臭いを簡単に嗅ぎつける事が出来る。
また、滑空は移動する時間やエネルギーを抑えると共に、採食に費やす時間を増やすことにも役立っていると考えられている。

巣穴は樹洞などを利用するが、森林などが近くにある人里などでは、家屋の屋根裏などに巣を作ることもある。
また、時にはリスのように樹上に巣を作るとも言われているが、いずれにしても地上には作らない。

繁殖期は地域によって異なり、ふつうは1産2~4子。
雌は子どもが巣を離れるまで育児・保護するが、雄は育児には参加しない。

生まれたばかりの子どもはほとんど無毛で、皮膚を通して内蔵が見える。
生後5週目程で体毛が完成し、およそ3ヵ月で滑空できるようになる。

飼育下では15年程度生きると言われているが、野生での寿命は病気や捕食などによって死亡率が高く、10年、或いは6年程度と考えられている。

外敵はアライグマテンコヨーテボブキャットなどの他、フクロウなどの猛禽類や大型のヘビなどに襲われることも多い。

国内に生息するムササビ(本種・Petaurista leucogenys)は本州、四国、九州に分布し、固有種とされている。
3亜種に別けられることもあるが、体色は背面が黄褐色、赤褐色などで、腹面は白く、ほおには淡色の斑がある。
リス科の動物としてはかなり大きく、平均すると体重は900~1000g程で、およそ小さなイエネコほどの大きさがある。
また、普段は単独で生活し、冬眠はしない。

生態や食性などは他のムササビと同様、夜行性で、昆虫や小鳥、果実、木の実、木の芽など、季節によって様々なものを食べる。

生息環境も同じで、山地や平野部の森林などに生息し、樹洞などに巣をつくるが、寺社の森や林などでも見られる。
また、人の住んでいるところにも現れ、屋根裏などに巣を設けることがあるが、この場合は糞尿などによって家屋に被害を与えることがある。

鳴き声は「グルルルル」や「キョロロ」などのように聞こえる鳴き声をあげ、リスの中ではかなり大きな声を出す。

雌は同性間で縄張りを持っているが、縄張りの広さは生息環境や食糧事情などによって大小する。
雄では決った縄張りをもたず、行動範囲は雌の縄張りや他の雄との行動圏が重なることがあると考えられている。

繁殖は初夏と冬の2回行われると言われ、この時期の雄は雌をめぐって激しく争う。
雌は1~3頭の雄と交尾するが、雄はタンパク質でできた物質を射精後に放出し、これが雌の体内で「交尾栓」と呼ばれる白い塊なる。
これは確実に自分の遺伝子を残すためと考えられているが、後から交尾する雄は、ワインの栓抜きのような形になっている陰部で交尾栓を抜き取った後に交尾を行うことが知られている。

雌は妊娠期間75日前後で、ふつうは1~2子を出産する。
2ヶ月ほどで成獣と同じ程度の大きさに成長し、この頃には巣穴から出るようになる。

外敵はテンやフクロウなどが上げられるが、近年では森林開発などによる生息地の減少もあり、多くの自治体で準絶滅危惧種に指定されている他、自治体によっては絶滅危惧種に指定されているところもある。

ところで、国内にはモモンガも生息していて、外見などもムササビとよく似ていて滑空も出来るが、モモンガにはムササビにある頬部の白い斑は見られない。
また、モモンガは体長14~20cm程とムササビよりも小さく、体の皮膜の面積もムササビよりも小さい他、ムササビに比べて目が大きく、尾は毛の生え方によって扁平していて四角い形に見える。

このほか、オーストラリアに分布するフクロモモンガなども滑空することが出来るが、ムササビなどとは違って育児嚢をもち、カンガルーコアラなどと同じ有袋目に属している。


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